宵の明星を意味する「太白」の名を冠したごま油。
繊細な味覚と、洗練された技を持つシェフたちに100年に渡り選ばれ続けているのは何故なのか。
和食、中華、フレンチ、イタリアン、
パン、スイーツ、
現代ではジャンルの垣根を越えて
活躍の場を広げています。
雑味がないから、
料理の味を邪魔せずに際立たせる。
そんなマルホン太白胡麻油を、なぜ使い始めたのか、
どんな印象を持っていて、どうやって使って、
何を作っているのか。
プロが愛用する、香りのないごま油。
日本料理界を牽引する9名へのインタビューを通して、
その魅力を紐解いていきます。
シェフやソムリエに
太白胡麻油について語ってもらいました。
料理界のトップランナー9名それぞれの
「マルホン太白胡麻油」
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坂本 健
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チェンチ
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笠原 将弘
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賛否両論
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川手 寛康
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フロリレージュ
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川田 智也
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茶禅華
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清水 良晃
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清壽
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柴田 勇作
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PRISM
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大澤 秀一
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コム・ン トウキョウ
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渡辺 麻紀
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料理家
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大越 基裕
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アンディ
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坂本 健
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チェンチ
太白胡麻油は前に出過ぎない、丸い口当たりでトゲがないことが魅力。
日本のイタリアンの厨房で使われている油は、基本的にはオリーブオイル。もちろん、イタリアの郷土料理を何年も作ってきた人にとっては、その地方ならではのオリーブオイルをたっぷりかけることで料理としておいしくなることもあります。
しかし、今の僕の厨房では、オリーブオイルの消費量は減ってきていて、本当に必要な皿にだけ垂らす感じになってきました。その分、太白胡麻油を使うようになってきたのですが、無味無臭の油にハーブの香りや色目を移す扱いに長けているのが特徴かなと思います。
特に違いが明確なのがマヨネーズ。食材がシンプルで卵とお酢をつなげるだけなので、オリーブオイルで作った場合、オリーブオイルの味が強すぎて美味しくないものになります。だからこそ、自分が作りたい料理に対してはどういうトーンの油がいいのかなと考えることが大切です。その中で太白胡麻油は無味無臭だけど旨味を加えるから、本当に名脇役だと思います。また、成分がゴマで体に良い油なので、自分の舌が喜ぶのを実感できます。
僕は料理の骨格に出汁をよく使い、素材のおいしさを前に出したいと思っています。しかし、油脂分で味の骨格を作ることはしないので、油の種類としてはだんだん主張の少ないものを選ぶようになってきた気がします。僕の周りにいる同世代や若い世代も、油脂分を足したり回しかける時に太白胡麻油を使うシェフが増えていますね。日本人の作る料理は太白胡麻油が合うし、使いやすい。だからこそ、僕も太白胡麻油を選ぶことが増えてきたのだと思います。
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笠原 将弘
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賛否両論
太白胡麻油って、良い意味で個性がない。
だからこそ、和食にすごく使いやすい。
日本料理は揚げ物などはありますが、一番油を使わない料理だと思います。しかし、油が日本料理にとって必要だなと思うのは、旨味とか食べ応えが加わること。やはりこの油分の美味しさっていうのは、多分みんな好きなんですよね。みんなが美味しいと思うものは当然使いたくなるんですけども、日本料理は本当に淡い。だから、ときどき油に負けてしまうこともあるんです。そのバランスなんですが、油を上手に使ってあげると、日本料理の美味しさはさらに広がると思います。たとえば野菜なんかはまったく油脂分がない。この野菜、脂がのってておいしいわって表現ないじゃないですか。僕は無いものを補うというのが、味付けの方程式でおいしくなると思っているので、おいしいトマトはそれだけでもおいしいと思うんだけど、そこに太白胡麻油を垂らすと、圧倒的にもっとおいしくなると思います。いるかいないかよくわからない。でも、確実に美味しくしてくれる。太白胡麻油は、縁の下の力持ちみたいな感じですね。
もちろん、お客さまは気づいていないと思いますよ。でも、うちはカウンターですから、お客さまからどうやって作るんですか?と聞かれるときもあります。そのときは、太白胡麻油っていう白い胡麻油があるんですと必ず言いますね。そうすると「そんな油があるんですね」と100%驚かれます。それくらい油っぽさを感じないんです。でも、美味しくしてくれている。それが太白胡麻油のすごいところ。だから、かれこれ25年ほど使っていますし、これからも、使い続けていきたいと思っています。
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川手 寛康
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フロリレージュ
香りがゼロだけどちゃんと旨味を与える。
だからこそ、自分の思い描いたクラフトオイルができる。
まず、太白胡麻油って香りがゼロと言っていいほどほとんどないですね。香りがないって言うとすごくマイナスなイメージを持たれるかもしれないんですけど、僕たち料理人にとってはそこに素材を与えたり、香りを与えたり、旨味を与えたりと、太白胡麻油はスポンジのような感じで、与えれば与えるほど自分の思い描くようなオイルを作ることができます。例えば、焦がした昆布のオイルだったり、茶葉で作ったオイルとか、もちろんパセリも。あとは柑橘を使った少し酸味を持たせたオイルもありますね。
太白胡麻油を使っているフランス料理のシェフはまだ少ないですね。やはりまだまだグレープシードオイルが主流なんで、ヨーロッパは。とはいえ、アジアのシェフは気付き始めてるかなっていうのはあります。グレープシードオイルにも香りがあるので色々なオイルを試していく上で太白胡麻油に行き着いた感じです。
太白胡麻油は味わいの部分でもすっと入りやすいですね。自分の中でたとえば、凸と凹が簡単にカチッとはまってくれる感じがします。イメージ通りのオイルに落とし込みやすい。グレープシードオイルで同じようにやったとしても、自分が想像してたのとちょっと違うなっていうのが絶対出てくるんです。何かしらの要素が入ってきてしまうから。しかし、太白胡麻油は入れたいものを入れればストレートに味が出てくるんで、自分のイメージしたオイルを作りやすいですね。そういうオイルは、本当に少ないので重宝していますよ。
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川田 智也
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茶禅華
素材の良さを引き立て、加熱しても傷つけない。
やっぱり食材というのは一度命を断たれているので、その素材がもう一度お皿の上で生き返るということを目指して調理をしていますね。そして、自分が手を加えることで、その素材が素材らしく輝いてほしいと思っています。
太白胡麻油はですね、味がないと言いますか、太白という名前に込められた「白」というのが非常に特徴的だなと。白ってすべての絵を描く上で、水墨画でもヨーロッパの絵でもそうですけど、すべての基本になるというか、白にいろんな色を重ねていく。純白だからこそ白いキャンバスにさまざまな絵が描ける。そんなような油かなと思っていますね。
僕の料理哲学に「氵」に「炎」と書いて「淡」という字を目指すというものがあります。「真の味は淡味に宿る」という中国語があるんですけど、日本語でも大事にされている『菜根譚』という本の中にも出てくる言葉なんです。清らかさの「氵」と、燃え盛るような「炎」。太白胡麻油は水と炎、両方の性質を持ち合わせた油だと思います。発火寸前まで熱しても酸化臭がせず、食材の香りを引き立たせてくれるので。
ピュアでクリアで純白。そして、そのまま搾るからこそ生まれる、みんなが美味しいと思い体にもよく長く愛される味である。太白胡麻油は永続的に長く愛される感覚を感じますね。
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清水 良晃
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清壽
油そのものが調味料になるから、素材の味を持ち上げることができる。
太白胡麻油を使うと、軽く仕上がります。油の主張がほとんど感じられないからこそ、素材そのままの味のように感じるんですよね。揚げ物なのに、揚げ物でないような淡麗旨口な油だなと思います。私は、天ぷらであっても前面に油を感じないように、素材をいただいているような雰囲気にしたいと日々思っているので、太白胡麻油はそこに応えてくれますね。
素材の香りを邪魔するというとちょっと言い過ぎなんですけど、遮ってしまうような香りのある油を使うと、直にその素材の香りが伝わらない。なので、太白胡麻油を使いたい理由としては、強い香りがないことですよね。
やっぱりキレがいいので、軽やかに揚がる。だからこそ、素材そのままを表現できます。例えばレンコン。まず軽やかな風味があって、食べ進むにつれて、甘みと余韻が出てきます。しかし、あるところで終わるんです。ところが太白胡麻油で揚げていると、その余韻が倍くらい伸びるように感じる。もちろん、食べ手側としてはそれに気づかないんですね。その油の特性だとは思わず、素材の味そのままだと勘違いしてしまうぐらい。いい意味で油を感じない油なのに、実は縁の下の力持ち的に素材の力をぐっと数段階持ち上げてくれてるんですよね。そこが太白胡麻油の一番いいところかなと思うんです。
お客さまに「いい材料使ってるね」って言われたら「私はただ切って揚げて味つけもしてないんで」っていうのが私のいつものお決まりのセリフなんですけど、実は油の押し上げ度合いがすごいわけですよね。だから、揚げ油そのものが調味料なわけですよ。
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柴田 勇作
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PRISM
ピュアでクリアな太白胡麻油だからこそ、素材の味を最大限に引き立てる。
まずお菓子作りをする上でやっぱりまずバターからみたいな考えが一般的になっています。しかし、ここ数年でいろいろと油を試したりして、太白胡麻油のピュアでクリアな感じが、僕が目指す最終的に表現したい味にとても相性が良かったので使い続けています。
太白胡麻油の持つ特徴から生まれるインスピレーションも大切にしています。大白胡麻油だったらこういうことできるなっていう。今回作らせていただいたあの柚子のパウンドケーキというのはそういうきっかけからでした。
とにかく柚子というものは、フレッシュの状態が良くて、何もしないのが一番いいんです。でも、お菓子に使う食材は、バターやアーモンド、チョコレートなど素材をどんどんマスキングしていくものが多いんですね。なので、柚子を押し出すのは実はすごく難しいんですけど、太白胡麻油だったら、こういう香りを出すものに対しては相性が良いんじゃないかと思っています。
柚子のお菓子を一つ何か食べた時に、最終的に最後まで「あ、柚子のお菓子食べたな」って思うのは、まず味とか香りの入口があって、最後に鼻から抜ける余韻を残すよう考えています。食材って、手を加えれば加えるほど良さがなくなってしまうと思っていまして。だからこそ、太白胡麻油のピュアでクリアな感じが、柚子の風味の邪魔をしない。
今はビーガンというジャンルでも食材としてすごく注目されています。太白胡麻油で作ったチョコレートでも展開できるので、スイーツとも親和性がありますよね。
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大澤 秀一
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コム・ン トウキョウ
火を入れたときに違いがわかる。
違和感なく食べられるパンのために。
太白胡麻油は結構いろんな種類のパンに使っています。使うと、生地の歯切れが良くなって。特にサンドイッチにして食べるようなパンの場合は具材とパンの噛み切るときのバランスがすごく良くなります。さらに、太白胡麻油は無味無臭なので、生地の風味を邪魔しないんですよね。海外だとオリーブオイルを入れたりしますが、すべてがオリーブオイルの味になってしまって、合わせられる食材が限られてしまう。だからこそ、味を邪魔しないオイルの必要性をすごく感じています。
普段、何も感じない無臭の油でも火を通すと結構エグ味が出てきて、違和感を感じます。焼き上がったときに、匂いがあるんですよ。全然違います。油って、火が入った瞬間に味がします。でも、太白胡麻油の場合は本当に癖がなく、邪魔をしない。焼き上がりの匂いが全然違いますし、食べたときにこっちの方が美味しい!となるのではなく、違和感なく食べられるような感じでしょうか。
私は、ずっと日本にいるので、海外でいいものというより、日本でいいものを使いたくて選んでいるところが多いですね。これからも、太白胡麻油とうまく付き合いながら、歯切れのいい硬さ、しっとりさを目指して求めていきたいなと思っています。
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渡辺 麻紀
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料理家
美味しさを残しつつ、工程も食べ心地も軽くなる。
お料理をするにあたって素材の味だったりとかスパイスだったりとかをうまく活かしていきたいと思っています。そんなときは太白胡麻油。料理自体に油で香りを足さないっていうのかな、食材自体に香りがあったり特徴があっても、それをシンプルに出してくれます。クセのない油というのがいいですね。
キッシュってバターをたっぷり使って作るものなので、人によっては1度食べてしまうとその1日ずっと重さが残っている感じで。あんなに楽しんで命をかけて作っていたキッシュがこんなことになるなんて・・・。その時に「バターじゃなく油で作れるんじゃない?」って、ずっと試作して。それで、軽やかにしようと思って、試作を繰り返していくと面白い発見がありました。バターで作るときは、工程ごとに生地を休ませる必要があったのですが、太白胡麻油ではそれが不要で。太白胡麻油に替えてみたら、時間も手間も3分の1くらいで済むことに気づいたんです。パート・ブリゼ(‟砕けた生地“の意)らしい、ザクザクホロホロとした食感もしっかり表現できました。
しかも、たくさん食べても全然もたれないんです。加えて、下焼きした生地は室温で1~2日経っても、動物性油脂にありがちな酸化臭が全くしません。時短になって食べ心地が軽く、作り置きできておいしさもキープできる。太白胡麻油で作るキッシュは、今の時代にとても合っていると思います。
「誰にも教えたくない」って思いがありましたが、今では「世界中に知らせたい」という思いが強いです。ぜひ皆さんにとりあえず一度使ってみませんか?と言いたいですね。
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大越 基裕
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アンディ
フレーバーがニュートラルだからこそ、素材をリスペクトしながら良さを支える。
キャノーラ油は、滑らかではあるんですけど、その香りが割と口の中に長く残るというのが特徴かと思います。また、エキストラヴァージンオリーブ油は、かなり香りが特徴的で、口の中に入れた瞬間にフレーバーがわっと広がっていきます。米油は、この3つの中では最も重い。余韻に特徴的な穀物っぽい感じ、ナッツっぽい感じもありますけど、香ばしい感じが割と強く残っていますね。
太白胡麻油は、香りもフレーバーも両方とも穏やかなんですけど、深みがあります。フレーバーがここまでニュートラルであるにも関わらず、その存在感が強いというところが特徴的なのかなと思います。いい意味でのこのニュートラル感がこの油の良さっていうものを感じさせてくれて、いろんなお料理とか食材を支える存在だと思います。様々なものの特徴をリスペクトしながら支えることができるオイルかなと。
たとえば私の店「アンディ」では、フレーバーオイルとかも作ったりしてます。そういう意味でハーブとかのフレーバーを純粋にそのまま表現することができますし、オイルとしての味のコクの存在感もそのまま生かせるので、ハーブの香りをふんだんに感じさせつつ味わいもしっかりとしたフレーバーオイルも作れたりするという使い方を私たちはしております。厳選したハーブで作り上げる中で、その香りを100%生かしたいとすれば、香りがニュートラルであることが一番だと思います。逆に軽すぎることでハーブの味わいが出すぎてしまうことも防げるというか。オイルとしての役割も必要なので。粘性があり、旨味のあるオイルとしての味わいを保ちつつ、香りだけきれいにのせることができ、バランスもとることができるという、両側面を持ったオイルなのかなと思います。
太白胡麻油のもう一つの特徴というのが口当たりにあると思います。油は基本的に滑らかではありますけど、その中でもキメが細かい、スムースですね。油の中でも若干の酸を持ってたり、若干の渋味とか苦みを感じられるものがある中で、そういう味わいが感じられない。そういう意味でいろんな味わいがよく溶け込んでいるという感じ。そのバランスの良さ、ピュアであることがこの滑らかさを生んでると思うんですけど、そういったところも太白胡麻油の一番の特徴としてとらえています。
※太白は竹本油脂の登録商標です